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コラム

AV/情報家電

2023.08.19

リサイクルショップのスタッフが考えるカセット・CD・MD

音楽の再生機

皆さんはどんなオーディオ機器で音楽を聴いてますか?現在、多くの方が「スマホ」と答えるのではないでしょうか。私もそうです。

 

私の青春時代は、家ではミニコンポ、外ではポータブルカセット・CD・MD、車ではカーオーディオ(カセット・CD・MD)でした。特にカセット・MDは好きな音楽を、好きな順番に編集して聴けるので重宝しました。カーオーディオには最適でしたね。

 

当時はCDを買い続ける財力もないので、CDをレンタルしてカセット・MDに録音するというのが一般的でした。この手軽さがカセット・MDを普及させた一つの要因だと思います。

 

その後、カセット・MDがCD-R・USB・デジタルオーディオプレーヤーと変化していきましたが、まだ音楽の中心はCDでした。それが変わったのは「サブスク」。月々定額でたくさんの音楽を聴き放題というこのサービスが、現在の音楽シーンの主流になっているのは頷けます。わざわざCD借りに行かずに、スマホで検索すればすぐ聴けるというのはやっぱり便利です。

 

このため、現在CDは「ファンが自分の推しのために買うグッズの一つ」になっているように個人的に感じます。

 

カセット・CD・MDの現在地

それでは、カセット・CD・MDの需要はなくなったのでしょうか?

答えは「NO」です。リサイクルショップの現場では根強い需要を感じます。

では、どのような方々がカセット・CD・MD再生機を探されているかと言いますと…

 

カセットの場合

やはりシルバー層の方々です。「私はカセットしか使えない」と言われたお客様もいらっしゃいました。

「カラオケの練習のため」と言われた方もいらっしゃいました。

変わったお客様だと、「旦那の声が入ったテープがあって、それを聞いて起きるのが日課なの。今まで使ってたのが壊れたから新しいのを買いに来た。」と言われたお客様もいらっしゃいました。うん、愛ですね。

 

ちょっと前に「独特の音の感じから、若い人にもカセットテープが人気」という記事を読んだことがありますが、当店では感じられませんでした。

 

ちなみに、カセットが再生できる機械は東芝、SONY、パナソニックといった大手もまだ製造しています。

 

MDの場合

断然、「昔録ったMDをもう一度聞きたい」と言われる方々です。

 

ただ、何年か前に「MD再生機の製造終了」というニュースを見た気がしたので調べてみました。

 

単純に「MDが再生できる機械」としてはTEACが2020年頃までCD・MDデッキ(アンプにつないで使う据え置き型のデッキですね)を製造されていたようですが、例えばMDを産み出したSONYでも最後のMD再生機(ミニコンポ)は2013年の3月で生産終了しています。もう10年たっているんですね。どおりで、最近MD付きのミニコンポの持込み自体も少ないですし、動くものが少ない訳です。

 

ということはこの先、MDが再生できる機械はプレミアがついて価格高騰する可能性もあります。

 

でも、先に書いた「昔録ったMDをもう一度聞きたい」といった方々が、プレミア価格がついたMD再生機を買ってまでMDを聴きたいのかどうかは分かりません。

 

CDの場合

CDはまだまだ現役ですので、再生機もたくさん造られています。ただ、再生機の主流がスマホになっていますので、Bluetooth機能が付いてスマホの音楽を聴けるモデルも増えています。

 

CDのみで音楽を聴く方は減っていると思われますから、CDを聴くためだけに再生機を買われる方は減っているように感じます。

 

リサイクルショップの現場でのカセット・CD・MD

先程MDの説明で「動くものが少ない」と書きましたが、私たちがどこに注目してこれらの再生機を動作テスト(査定)しているかを紹介します。過去のケースで「どこが壊れていたか」の話です。

 

カセットの場合

まずはキャプスタンを見ます。キャプスタンとは、ピンチローラと対でテープを挟み込み、規定にあわせた一定の速度で送る2本の大きめの針のような部品です。これが何故かサビているものをよく見ます。ここがサビているとテープを傷つけますし、サビを取るのも大変な箇所なので、最初にここがサビていないかをチェックします。

 

ラジカセなどの操作部が押し込む式のボタンの場合、ボタンが破損していないかを見ます。押しっぱなしにならなかったり、逆に押しっぱなしになったまま、停止ボタンを押しても戻って来ないものもありました。

 

カセットの故障で多いのは再生ボタンを押すと、少し動いてすぐ止まったり、オートリバースを繰り返すケースです。

 

古いものを持ち込まれることが多いので、駆動系が壊れているものが多いです。

 

MDの場合

カセット・CD・MDの中で比較的壊れているのが少ないのがMDです。その中で最も多い故障は、「MDが出て来なくなる」です。テスト中にこれになると非常に焦ります。何度、「MDが出て来なくなったので故障していますね」と言ったことか。

 

ただ、ダブルMDが売りだった、あるメーカーのミニコンポ(ラジカセ型も)はMDが先に故障することが多かったです。「MDが出て来ない」「再生できない」もあるのですが、それ以上に「録音ができない」が多かったです。

一番怖いのが、

①CDアルバムを録音すると10曲ちゃんと録音できる。

②そのままMDを再生テストするとちゃんと聴ける。

③そのMDを取り出してもう一度挿入すると「BlankDisk」になる。

というものです。知らないと見逃してしまうところです。

 

CDの場合

多いのはピックアップレンズの故障です。ピックアップレンズとは、光ディスクに記録されたデータを読み出すために使うレーザー光を照射、反射した光を読み取る装置のことです。要するにディスクを読まなくなるのです。また、ピックアップレンズが弱ってくると、少しの振動で音飛びしたり、振動がなくても音飛びしまくることもあります。ここが要チェックポイントです。

 

かなり古い製品なので、ほとんど見ることはなくなりましたが、20年くらい前に流行ったCDチェンジャー搭載機ではチェンジャーが故障して動かなくなるものが多かったです。

 

また、CDがトレイ式の場合、トレイが動かなくなっているものもあります。とあるメーカーのCDコンポの場合、ピックアップレンズよりもCDトレイのモーターが先にダメになると言われていまして、テスト内容に「10回CDトレイを開け閉めする」というものがあります。5回くらいで急に開かなくなるものもありました。

 

まとめ

再生機の主流がスマホになった現在においても、まだカセット・CD・MDの需要があることは、このコラムでお伝えできたかと思います。ただ、現在も製造されているカセット・CDの再生機とは違い、もう造られていないMDの再生機はこの先、ますます入手困難となることでしょう。

 

そこで、このコラムを読んでいただいた方にご提案です。もし、MDを再生できる機械をお持ちの方は上記のポイントを参考にしてご自分の再生機をテストしてみませんか?

どこも故障のない製品であれば、もしかしたらスゴいお宝になるかも知れません。

 

もちろん、店頭にお持ちいただいて、私たちにテスト(査定)を任せていただいても構いません。

精一杯査定させていただきます。

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